木や竹から炭を作るときにできる木酢液(竹酢液)も非常に優れた機能を持っている。
木や竹の主成分にはセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが主で、それに微量の成分が含まれている組成分に基づく熱分解成分物も水蒸気と一緒に気化して煙となって出てくる。
この煙を集めて冷却し、タール分を取り除いたものが木酢液(竹酢液)と呼ばれているもので、この液体の主成分は約90%が水でこれを除いて一番多いのが酢酸である。実際匂いを嗅いでみるとツンとした燻煙臭がある。水以外の成分の中では酢酸が30数%と一番多く含まれており、そこから「木(竹)酢液」という名前が付けられている。水以外の残りの10%の有機化合物は、前述した酢酸を始めとする有機酸類、フェノール類、アルコール類、カルボニル化合物等の酸性成分、中性成分、塩基性成分など200種類以上の成分からできている。
これらの成分の中には、殺虫・殺菌作用のあるものや、土の中の有用微生物のエサとなって増殖を助けるものや味を良くするもの、土壌を改良するものなど、様々な成分が含まれており、これらが複合的に作用することで、より大きな相乗効果がみられることになる。
また、木酢液(竹酢液)は農薬の効果を高めたりする触媒的な機能を果たすほか、家畜の飼料に混合すると肉のしまりが良くなるという効果が確認されているし、人体に対してもアトピー性皮膚炎の炎症効果や糖尿病の人の血糖値が下がるといったことも確認されている。

木酢液・竹酢液の持つ紅葉で特筆すべきものが抗酸化作用である。
日本木炭新用途協議会名誉会長の岸本定吉林学博士は、木酢液の抗酸化作用・抗菌性に関する実験結果を次のように発表されている。

『木酢液には抗酸化性、抗菌性があり、特有のフレーバー(香味)があるので、各種食品加工にも使用されている。〜〜中略〜〜木酢液には代表的食品防腐剤、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)と同様の抗菌性があるので 魚類の鮮度保持などに使用されている。燻煙の抗酸化性についてはポーランドのチルグナーが多くの報告を出しているが、その抗酸化性はフェノール成分に基づくもので、これらの成分が溶けている木酢液にも強力な抗酸化性がある』 (「竹炭・竹酢液のつくり方と使い方」農文協刊)

このように木酢液・竹酢液は体内の活性酸素を除去する効力を持っており、その効力は、黒酢の6倍、ゆず酢の3倍との数値も出されている。
またポリフェノールという成分も体内に活性酸素がたまるのを防いだり、動脈硬化や脳血管疾患を予防する効果があるということで、赤ワインの健康効果が言われているが。木酢液・竹酢液にも多くのポリフェノールが含まれており、同様に抗酸化作用が期待できる。
竹や木酢液・竹酢液については京都大学木科研の野村隆哉さんが多彩な研究を進めつつあり、環境改善と生活・健康素材としての数多くの効用の解明への期待が高まっている。